まず、中学の偏差値40台がどのくらいかというと、高校の偏差値50〜60くらいです。そこを目指すのは戦略的には十分アリです。
中学偏差値について、くわしくはこちらの記事
偏差値40台を目指すなら進学塾に行かず、個別指導や家庭学習のみで受験するのがおすすめです。進学塾は偏差値40台の学習には対応していないので、過剰な勉強で大変になるだけ。
偏差値40台向け、算数の勉強法
とにかく多くの問題をこなすこと
偏差値40台の算数の勉強法はシンプル。とにかくたくさんの問題集を何度も解き、さまざまな問題に触れ、解き方を知ること。というのも、問題集に載ってないような全く新しい問題がほとんど出題されないから。ひたすら多くの問題をこなしておけば「あ、見たことある。やり方が分かる!」となります。
時間は限られててる。解くものを選定する
勉強法はたくさん解くことなんですが、範囲が広いのでやみくもに勉強してたら時間が足りません。重要なのは何を勉強するのか。限られた時間で効率的な問題選びが合格の明暗を分けます。
算数の出題範囲
- 小学校で学んだ内容(応用)
- 特殊算
- 図形・グラフ
小学校で学んだ内容(応用)を勉強する
小学校で学んだ学習範囲の中からの出題もあります。ほとんどが応用問題や間違えやすい問題。簡単ではありません。どの単元の問題であっても、やり方を知ってないとスムーズに解けない問題ばかり。下の出題例を見てみてください。いきなりパッと解ける子は少ないと思います。
出題例
・8で割ると2あまる数のうち、100に最も近い数は?(倍数・約数) ・時速64kmは秒速何m?(速さ) ・百の位を四捨五入すると5000mになる長さの範囲は、何m以上何m以下ですか?(四捨五入)
出題される、小学校で学んだ内容(応用)
- 小数や分数の計算
- 数の性質(倍数・約数)
- 場合の数
- 単位換算
- 四捨五入
- 比
- 速さ
- データの整理
- 単位量あたりの大きさ
- 比例と反比例
これら全て、基礎くらい分かっておいた方がいいけど、入試に出るような応用問題まで完璧にする必要はありません。入試で出る応用問題は難しくかなりのボリュームになる。過去問を参考にしつつ、出題されそうな問題のみを重点的に学習する。この辺の問題も、特殊算と同様に中学受験の算数の問題集に掲載されています。
出題確率の高い特殊算を中心に勉強する
中学受験の特殊算は、小学校の学習内容の応用になるので、全ての学習を終えてからじゃないと取りかかれません。スケジュールとしては特殊算は後回しにして、まずは小学校の学習を1年早めて小5のうちに終わらせる。
主要な特殊算は22種類
特殊算は幅広く、25種類くらいという人もいれば、35種類くらいという人もいる、細かく分類すればもっと多いという人もいる。ただし、偏差値40台であれば主要な特殊算が出来ていれば大丈夫。もっといえば、その中でも過去問10年見て一回も出ていないような特殊算は後回し。よく出ている特殊算を完璧にしてから、余力があれば他の特殊算にも手をつけてみましょう。
場合によっては全種類やらなくていい
実際、私は過去10年間の過去問を見て、いくつかの特殊算はほぼ出る可能性が無いと判断し、17種類しかやらせませんでした。その代わり、何度か出た特殊算など重要そうな特殊算はみっちり学習させました。
主要な特殊算22種類
- 和差算
- 消去算
- つるかめ算
- 過不足算
- 差あつめ算
- 相当算
- 売買損益算
- 濃度算
- 旅人算
- 通過算
- 流水算
- 年齢算
- 倍数算
- 集合算
- 植木算
- 仕事算
- ニュートン算
- 平均算
- 周期算
- 時計算
- 方陣算
- 日暦算
主要な特殊算、
1週間づつ進めても5ヶ月以上かかる
どの特殊算もまずは基礎問題を完璧にする。毎週進めたとして、主要な特殊算だけでも22種類あるので5ヶ月以上ほどかかります。小6の4月に特殊算をスタートすると、一通り学習するだけで9月。これに加えて小学校の学習の応用問題や図形問題もあるので、春休みや夏休みなどをしっかり使わないと時間が足りません。
一旦覚えたとしても数週間経つと忘れてしまったり、定着するまでは繰り返し勉強する必要があります。流水算や植木算のような問題が解りやすいものは覚えやすいですが、つるかめ算や相当算や過不足算など見分けづらいものもあり、いろんな特殊算をやってると混乱して何算を使えば良いか分からなくなってしまいます。
過去問を元に
志望校の入試で出そうな特殊算を調べ
重点的に学習する
過去問を10年分ほど見て何度か出題されてる特殊算は重点的に学習する。偏差値40程度であれば、問題集に載ってる問題と似た問題が多いので、いろんな問題集をこなしておけばある程度は解けます。出る順過去問という問題集はありますが、自分でピンポイントで志望校の過去問調べた方が、確実に対策できます。
応用のレベルは、志望校の過去問を参考に決める
特殊算にも基礎と応用がある。応用問題は問題集に載ってるまま出題されるわけではありません、問題によって細かく違いをつけることで、本番での思考力、応用力を求められる。同じ問題のやり方を覚えるだけでは解けないので、考え方を鍛えなければいけません。中堅校以上を目指すなら、応用問題を重点的にトレーニングすることが必要ですが、偏差値40台では全てを完璧にする必要はありません。応用の中でもやさしめの問題が多いし、基礎問そのまま出ることもある。
これも過去問から問題レベルを確認する。“仕事算だと基礎問だけど、つるかめ算は応用” “市販の問題集に似た問題があるけど、見たことない問題もある” など、志望校の過去問10年分くらい見てれば傾向が見えてきます。
私はこんな感じで過去問分析しました

親が調べるのは大変かもしれません。でも、絞り込むことで力を入れるべき箇所、重視しない箇所のあたりをつけ効率的に学習できる。結果的に無駄な学習を減らせ、合格の可能性が上がる。塾は難関校じゃない限り、学校ごとの細かい出題傾向を細かく見てくれません。
図形・グラフを勉強する
図形・グラフの問題
主要な図形・グラフ
- 角度
- 面積
- 体積
- 表面積
- 立体図形
- 回転体
- 点の移動
- 容積とグラフ
- 進行グラフ
出題される学校もある
- 合同な図形
- 展開図
- 拡大図と縮図
- 対称な図形
大問3までの図形問題はやさしめ
落としたくない
大問3までの図形問題は、偏差値40台の場合は特殊算よりはやさしい。色んな問題集の図形問題を片っ端からやっておけば、どれか似た問題にあたります。
この中では点の移動や容積とグラフ、進行グラフは難しい問題が出題されがちなので、苦戦する子はいると思います。大問4以降の図形やグラフの問題は難しめ、問題集のそのまま出ることは基本的に無いでしょう。
図形問題は計算ミスに注意
図形問題は何回も計算しないといけないので、途中でミスしやすい面もあります。ミスしないで計算をやりきる力が重要、やり方が分かっていても結構間違えるものです。
過去問を解く
小6の秋頃(9月)が過去問開始の目安
小6夏までに一通り全ての学習を一旦終えます。特殊算を基礎と、志望校にあわせた応用問題をある程度完璧にしたら、実際の過去問を解いていきます。算数の場合、問題傾向はわかっているので大外しはしないのだけど、我が子の場合は微妙に合格最低点に届かないことが多かったです。
過去問は貴重、
1回目しか本当の実力を測れない
志望校の過去問は貴重。取り組める回数が限られています。初めて解く1回目しか本当の判定は出せないので、取り組むタイミングは慎重に。2回目以降は合格の目安にはなりません。
入試本番と同じ想定で
1回分の全教科一気に行う
10年分の過去問、各2回づつあると思うので、実際の試験のように時間をきっちり測り、実際の順番と休憩時間で、全教科一気にやり切ります。より本番に近い状況で過去問を解くことが、実際の入試の感覚をイメージしておきやすいからです。合計点数が合格最低点に到達してるか確認する。
我が家の場合は土日に各1回づつ進め、入試直前の週(1月の最後の週)に昨年度の入試問題をする、というスケジュールを組みました。古い問題ほど問題傾向が少し異なる為か、年度が新しい過去問になるにつれ安定して合格最低点以上を取れるようになっていました。
合格したければ
「取れる問題」を確実に取る
取れる問題とは、大問3までの問題のこと。ここまではやさしめの問題です。大問3までをいかに「ミスしないか」。当たり前ですが、解き方をわかっていても答えが合ってないと分からないと同じ。計算問題でも1問5点ほどあり、1問でもミスすると大きな失点になります。過去問を解く中で、なかなか合格点に届かなかった理由はミスのせい。ミス3問で15点も引かれるので、そのせいで合格最低点に届かなかったことは何度もあり、本当に心配でもどかしい思いをしました。
大問3までを
確実に落とさなければ合格できる
大問3までの計算問題、一行問題、図形問題。しっかり勉強してきたなら、ほぼ解ける問題です。ここを確実にミスしなければ合格できます。
大門4くらいから難しくなっていきます。難易度の高い問題を時間をかけて解くのではなく、大問3までの取れる問題を「確実に取る」。算数ではこれが重要になってきます。
偏差値40台の算数の勉強法はシンプル
- 過去問を元に、出そうな問題にアタリをつける
- 広く多くの問題を解いておく
- 大問3までをミスせず確実に取る
出題されそうな問題を重点的に勉強し、できるだけ多くの問題を解く。思考力を求められるところもありますが、大問3までは知ってれば解ける問題ばかり。逆に言えば知らないと解けないので、幅広く問題をこなしておくことが最も重要。そしていかにミスせずに大問1~3までを確実に取れるか。それが合格する方法です。